Gentoo Linuxにおけるその他すべてと同様に、Gentooカーネルチームの理念は、 ユーザに可能な限り多くの選択肢を与えることです。emerge -s sources の出力から、選択可能なカーネルの種類がとても多いことがわかります。 このドキュメントでは、私たちがデザインするそれぞれのパッチセットの目的に関する簡単な概要およびその他の利用可能なカーネルの説明をします。
genkernelは自動的にハードウェア情報を検知し、カーネルを自動的に構築するためのツールです。 このツールは、カーネルを手動でコンパイルすることが得意ではない人が対象です。
詳しい情報は、Gentoo Linux Genkernel Guide(日本語訳)を参照してください。
多くのユーザに推薦できるカーネルソースはgentoo-sourcesです。 2005.0リリースから、Gentoo Linuxは2.6カーネルをデフォルトのカーネルとして使用しています。 2.4プロファイルを明示的に指定しない限り、ほとんどのアーキテクチャでgentoo-sourcesは2.6.カーネルになります。
gentoo-sourcesは、たくさんのパッチ(セキュリティ対策、バグ対策、一般的ではない複数のアーキテクチャでの互換性向上)を含むLinux 2.6ベースのカーネルです。Linux 2.6は現在の公式の安定版カーネルです。 また、開発も活発に行われています。 最高のパフォーマンス、最高のハードウェアサポート、そして新しいたくさんの機能があるので、私たちは古い2.4よりも2.6を推薦しています。
あまり一般的でないいくつかのアーキテクチャでは、2.6はまだ完全に動きません。 また、実績があり、よくテストされたLinux 2.4カーネルを好むユーザーもいるでしょう。 このような理由からgentoo-sources(2.4バージョン)を提供しています。 2.6と同じようなパッチと、またそれに加えて機能やパフォーマンスを向上させるためのパッチがこのカーネルには含まれています。 Linux 2.4は活発に開発されていません。新しいリリースにはバグとセキュリティ対策のみが含まれています。 そのため、可能ならば2.6へアップグレードすることを提案します。 その場合には、migration document(日本語訳)が役に立つでしょう。
gentoo-sourcesはGentooカーネルチームの成果が含まれています。 彼らは、USBやPCIサブシステムで公式なLinuxカーネルデベロッパーであるGreg Kroah-Hartmanを含む優秀な開発者グループです。
次のカーネルソースは、おそらく多くのLinuxユーザがよくご存知のvanilla-sourcesです。 これはhttp://www.kernel.org/でリリースされている公式のカーネルソースです。 このカーネルには私たちは一切パッチを加えていません。 完全な無修正のLinuxカーネルを望む人たちのためのものです。
gentoo-sourcesと同じように、二種類のカーネルバージョンがこのパッケージにもあります。2.4と2.6です。
Linux 2.4はMarcelo Tosatti氏によって管理されています。 オリジナルのLinux作者であるLinus Torvalds氏は2.6カーネルツリーを開始したときに、2.4ブランチをMarcelo氏に任せました。 Marcel氏は2.4を安定・セキュアにし続けるという素晴らしい仕事をしています。 また現在ではセキュリティとバグ修正のみを2.4カーネルツリーに受け入れています。 実際の開発は2.6カーネルツリーで行われています。
Linux 2.6はAndrew Morton氏によって管理されています。 彼はLinus Torvalds氏と共に、速く、強力で、機能のつまったLinuxカーネルを作るために活動しています。 開発はすごいペースで行われているので、このカーネルツリーはとても熟成しています。
サーバー用途: hardened-sourcesとrsbac-sources
hardened-sourcesは、サーバーシステムでGentooを運用することを目的にした公式なLinuxカーネルベースのものです。 Gentoo Hardenedプロジェクト内の様々なサブプロジェクトからパッチ(LSM/SELinuxやgrsecurityなど)と、安定性/セキュリティ強化のパッチが含まれています。 gentoo-sourcesのように、2.6と2.4バージョンがあります。 詳しい情報は、http://www.gentoo.org/proj/en/hardened/を参照してください。
rsbac-sourcesには、Rule Set Based Access Controls(RSBAC)を使うためのパッチが含まれています。2.4と2.6用があります。 Gentoo HardenedプロジェクトのサブプロジェクトであるRSBACプロジェクトによってメインテナンスされています。
重要: こららのカーネルはセキュリティ強化のための強力なパッチを提供します。 使用する前にドキュメントを読んでください。 |
hppa-sources、mips-sources、sh-sources、 sparc-sources、xbox-sourcesは、 その名前が示すように、特定のアーキテクチャ向けのパッチが当たったカーネルです。 また、ハードウェアのためのものや、このドキュメントの他の場所で解説した新しい機能のためのパッチもいくつか含まれています。
さて、ここからは簡単に、emerge -s sourcesをすると表示されるその他のsys-kernel/*-sourcesについて紹介していきます。 アルファベット順に取り上げていきます。 これらのカーネルは emerge -s sourcesしたときに見れる他のsys-kernel/*-sourcesの一部について、これから簡単に記述します。では、アルファベット順に見ていきましょう。 これらのカーネルはお好みで選択できるように提供されていますが、Gentooチームによってサポートされているわけではありません。
ck-sourcesはCon Kolivas氏のカーネルパッチセットです。 このパッチセットは、当初システムの応答性を高め、さまざまな負荷(サーバーからデスクトップまで)に対して設定できるものとしてデザインされました。 また、このパッチセットはとても実績があり、多くの開発やチューニングがされてきました。 毎回のリリースでは、安定性とセキュリティが強調されています。 サポートや情報は、http://kernel.kolivas.orgか、irc.oftc.netの#ckにあります。
git-sourcesパッケージは、upstreamの開発中カーネルツリーの日々のスナップショットです。 これは、カーネルの開発やテストに興味がある場合に使用してください。 バグレポートは、Linux Kernel Bug Trackerまたは、LKML (Linux Kernel Mailing List)へ送ってください。
mm-sourcesはvanilla-sourcesをベースにしており、Andrew Morton氏のパッチセットが含まれています。 これは、公式のカーネルに取り込まれる予定(またはあなたのマシンが火を吹いたことによって取り込まれなくなるかも)の最先端で実験的なパッチが含まれています。 常に開発のスピードが非常に早く、一週間で完全に変わってしまうことがあることが知られています。カーネルハッカーは新規のテストとしてこれを使っています。
vanilla-sourcesでは物足りないと思う方は、mm-sourcesを試してみましょう。でも、とても実験的なものなので、期待したように動かないこともしばしばあることを警告しておきます。
openmosix-sourcesは、openMosixシステム(オープンソース版MOSIXのようなクラスタ向けカーネルパッチセット)をサポートするパッチを当てたものです。詳細についてはhttp://www.openmosix.orgを見てください。
OpenVZとは、Linux上で動く、サーバー仮想化技術です。 OpenVZは、隔離されたセキュアな仮想プライベートサーバー(VPS)や、一つの物理的なサーバー上で、サーバーの効率を上げアプリケーションがコンフリクトしないことを保証した仮想環境を作成します。 詳しい情報は、http://www.openvz.orgを参照してください。
suspend2-sourcesはgentoo-sourcesに含まれているgenpatchesと、 Linuxカーネルでsuspend-to-diskを実現するために、新しく改良された Software Suspend 2を含みます。
このカーネルは、サスペンド/レジュームをよく行うラップトップユーザーに推奨されます。
usermode-sourcesは、User Mode Linux用のカーネルパッチです。このカーネルは、Linux上で動くLinuxの上で動くLinuxのそのまた上で動くLinux(以下、延々と続く)の上で動くように設計されています。User Mode Linuxは、テストやバーチャルサーバを対象としています。Linuxの安定性やスケーラビリティに対する素晴らしいトリビュートの詳細については、http://user-mode-linux.sourceforge.netを見てみましょう。
UMLとGentooに関する詳細についてはGentoo UML Guide(日本語訳)を読んでください。
aa-sourcesは、たくさんの種類のパッチが当てられた非常にカスタマイズされたカーネルです。開発元のメンテナーがこのパッチのリリースを停止し、このパッケージは古くなってしまったので、削除されました。
alpha-sourcesはAlphaアーキテクチャのハードウェア用のパッチが当たった2.4カーネルでした。 これらのパッチは、メインのカーネルに統合されました。そのため、Alphaユーザーは追加パッケージなしで最近のカーネルを走らせることができます。
development-sourcesはkernel.orgの公式の2.6カーネルです。 現在はvanilla-sourcesパッケージに同様のものがあります。
gentoo-dev-sourcesは2.6カーネルに、 バグ対策やセキュリティ対策、安定化のための修正パッチを含めたカーネルです。 現在はgentoo-sourcesパッケージに同様のものがあります。
grsec-sourcesカーネルソースは、最新のgrsecurity(version 2.0以上)のパッチが当たっています。 またたくさんのセキュリティに関するパッチとPaXのサポートも含まれています。 grsecurityパッチがhardened-sourcesに吸収されたので、このパッケージはPortageから削除されました。
hardened-dev-sourcesは、現在hardened-sourcesパッケージに含まれています。
rsbac-dev-sourcesカーネルは、現在rsbac-sourcesにあります。
selinux-sourcesは、たくさんのセキュリティ拡張が入った2.4カーネルでした。 2.6カーネルツリーでのセキュリティ向上によって、必要なくなりました。 SELinuxの機能はhardened-sourcesパッケージに含まれています。
uclinux-sourcesは、MMUなしのCPUや、組み込み機器用のカーネルです。 詳しい情報は、http://www.uclinux.orgを参照してください。 セキュリティパッチ同様、テスト用のハードウェア不足を理由に、 これは既にツリー上には存在しません。
win4lin-sourcesは、userland win4lin toolsをサポートするパッチを当てたものです。userland win4lin toolsは、Linux上でMicrosoft Windows (TM)アプリケーションの多くを、Windowsの環境とほとんど変わらない位のスピードで動作可能にします。セキュリティ問題のために削除されました。
このドキュメントの内容は Creative Commons - Attribution / Share Alikeライセンスです。